fbpx

不登校でもいい。学校以外に居場所を見つけよう。河合未緒×小幡和輝対談

僕は小学校から10年間、不登校でした。だけどさまざまな出会いやきっかけがあり、高校生3年生の時に起業しました。僕の経験が同じように不登校で悩んでいる子の役に立ててばと思い、今までも僕の実体験をもとに発信てきました。だけど不登校にはいろんなタイプがあるので、僕の体験がすべてに当てはまるとは思っていません。ということで、不登校の経験がある方々との対談企画を全8回に渡ってお届けします。
たくさんの事例の中で共通することはなにか。また不登校の経験がいまどのように活きているのかを聞いてきました。

第3回のゲストは、河合未緒さんです。

※この対談は、書籍「不登校から高校生社長へ」に収録したものを、一部加筆・修正したものです。

河合未緒

10891815_600058820094508_8322295594987207796_n

ネット上で不登校経験者と不登校生が相談できるサイト「Clue」・元不登校生のインタビューサイト「Load」をリリース。インバウンド事業で日本人・外国人向けに簡単に着れる着物&帯を販売。

不登校になった理由

小幡
小幡
不登校になった経緯はどんな感じだったんですか?

河合
河合
簡単に言ってしまうと、学校でいじめに合ったことが原因です。

女子特有のいじめで暴力的な目に見えるいじめではなく、わかるかわからないかのジワジワ精神的に追い詰めていく感じで、ちょっとノイローゼ気味になりました。

学校の先生に相談をしたところ、目に見えないから明確なことをわかってもらえず「それはいじめられているわけではない」と言われてしまいました。

親には長男長女特有の中々相談出来ないという感じで、1人で抱え込んでいたら精神的にやられてしまってある日、何かが壊れたって感じですね。

小幡
小幡
家入さんの話にも繋がりますね。

河合
河合
そうですね。家入さんの話と似ているというか、共感する部分が多々あります

小幡
小幡
僕もそれはありましたね。何で行きたくないのかと言われても、これという決定的な理由はなくて

僕はいじめられるというよりかは、空気が合わないというか、いじめよりも更に難しく、向こうはいじめてる気もないんだけど。何かあるじゃないですか。

集団の中に上手く馴染めない。僕的には居心地が悪い空間なんだけど、向こうはいじめている気持ちはないみたいな。

河合
河合
私も結局そういう感じですね。向こうはいじめてるって感覚はなくて。

小幡
小幡
僕の場合は小学2年生の中盤くらいに、殴られるというわかりやすいいじめが起きたんですよね。それで逆に言うと救われたというか決め手になって行かない理由が出来た。

逆にそれが良かったんですよね。周りからもわかるじゃないですか。

先生は助けなきゃいけないと思うし、空気感てすごい難しいから。空気感でいじめられるというか居心地が悪くなるとかなり厳しいんだろうなって。

河合
河合
そうですね。大きな理由がないと学校に行かなきゃいけないという部分が社会の風潮としてあるじゃないですか。

日本は行かない選択肢は「ない」っていう感覚に近いんで。

小幡
小幡
結局殴る蹴るくらいのいじめになれば対処しやすいっていうのはありますよね。

周りにもわかるし、殴られて帰ってきたら親は大丈夫か?ってなるし。そこで結構悩んでいる子も多いと思うんですよね。クラスに馴染めないみたいな。

河合
河合
特に女の子は多いと思いますね。女の子の相談をよく受けるんですけど。

不登校になった時期

31963880_1536061749854476_3938329231968174080_n
小幡
小幡
学校に行かなかったのはいつの話ですか?

河合
河合
中学校3年間丸々ですね。

小幡
小幡
中学でもそういうことあるんですね。

河合
河合
中学の方が独特の思春期を絡んでいるんで小学生より陰湿ですね。

周りと精神年齢も合わないっていうのもありましたけどね。私は逆にそいうのがあんまりなかったんで。

精神年齢が若干大人びていたというのもあって。可愛げのない子供だったんですけど(笑)

ただ、そこでいじめられて学校に行かなくなったからこそ、コミュニケーション能力の大切さに気付いたし、それがないともっと人と接するのが下手だった気がします。

世間に馴染むためのきっかけというか、後々考えてみたらそうだったんだろうなと。当時は相当苦しかったですけどね。

親との関係性は?

小幡
小幡
その時親の反応はどうだったんですか?

河合
河合
親は学校に行けの一点張りだったので余計に辛かったですね。家にも居場所がない感じがしたので。

家に居場所があったっていう人の話を聞くと羨ましいなって思います。それだけでだいぶ救われるんで。

小幡
小幡
不登校気味だったんですか?完全に不登校でしたか?

河合
河合
完全に不登校でした。

小幡
小幡
完全に不登校だったけど親はそれでも行けと?

河合
河合
そうですね。今回の対談で居場所がそれぞれ合った人は救われている感じがしたんですが、それもなかったんで、そこがだいぶ大きいですよね。

小幡
小幡
そっからどういう風に戻っていったんですか?

河合
河合
高校ですね。定時制高校だったんで、周りも不登校だった子もいたし、いきなり全て出席しないで、たまに休んだりもして徐々に毎日行くようになりました。

やっぱり時間は掛かりますよね。

自分としては家入さんもおっしゃってたと思うんですが、学校に行きたくないわけではなくて、同じようにみんなと一緒のレールの上を歩きたい派だったんです。

学校に戻りたくて仕方がなかったので、自分で行きたいという気持ちがあった。他には高校で出会いもあったんですが、やはり居場所を見つけられたのがあります。

学校だけだときつかったんですけど、途中で美術部に入ってそこで居場所を見つけたって感じだったんで。美術部に入らなかったら、もしかしたら卒業が伸びていたのか、退学をしていたかもしれません。

不登校のあいだはどう過ごしてた?

小幡
小幡
中学校時代はずっと家にいたんですか?

河合
河合
ずっと家にいましたね。習い事とかをしていて、きついと思うんですがそのまま学校行かなくなってもそれを続けるとかだったらまだ少しは可能性があったんですが。

中学に入るタイミングで勉強に集中したかったので、全ての習い事をやめてしまったんですよね。

学校に行かなくなってから、新しく居場所を見つけるとなると厳しいところではありますよね。

小幡
小幡
そうですよね。同じ地域の人だと同級生に会うじゃないですか。学校に行ってないことを突っ込まれたくないから、外にあまり出たくないんですよね。

登下校の時間はあえて避けて移動したりしていましたね。

河合
河合
会いたくないですよね。車で移動する時も見られたくなくて、車の中でも常にしゃがんで窓から見えないように移動したりもしていました。

小幡
小幡
僕はカードゲームを地元ではなくて、電車で1時間かかるところでやっていたんですよ。地元のカードゲームする場所もあったんですが、そこに行くと学校の子に会うので避けてました。

そう考えると離れたところに行って居場所を作るのはありかもしれないですね。転校までは行かなくてもコミュニティを一旦変えてみるというのはすごい大事な気がしていて。

河合
河合
私、転校したんですよ。違う学校に行ってみたけど、学校へは行けなかったですね。誰も信用できなくて人が怖いから始まっていたので。

人に対する恐怖心をある程度緩和させてから転校とかしないと、結局行けなくなっちゃうんだろうなと思いますね。

小幡
小幡
僕の場合は学校に行ってなかったですけど、行ってなかった時に、カードゲームショップとか適応指導教室とかがあったので。

学校に行っていないというだけで毎日のようにみんなで遊ぶし、勉強もたまにするし。結局、家にずっといたことがほぼなくて。

学校に行かなくても、他のコミュニティに入ったり、人とコミュニケーションとれたりする環境なら本気で行かなくていんじゃないかなって思います。

カードゲームショップでは僕のことを不登校だって誰も知らなくて、そのくらい見ても誰もわからないんですよね。

学校に行ってなかったけど、まぁまぁ明るかったんで、ちょっと変わった例かもしれないですよね。明るい不登校みたいな。

河合
河合
それは人が怖いっていうのがあるかないかだと思うんですけど、親に責められたりしました?

小幡
小幡
最初はそうでしたね。毎朝喧嘩でしたし。

河合
河合
その状態で人間不信にはならなかったんですか?

小幡
小幡
いとこの存在が大きかったと思います。いとこの家が実家から徒歩2分だったのでありがたかったかなと思います。

河合
河合
今は核家族ですもんね。そういう問題も絡んできていますよね。

昔は近所の人の目があったり、親戚が近くにいたり、自然と他にコミュニティだったりコミュニケーションを取る機会が多かったと思うので、そこで救われる部分もあったりしますからね。

小幡
小幡
近くに親戚がいる地域だと、極端な話、学校に行かない選択をした時に親戚に預けてお母さんが働くことも出来ますが、都会で家族だけ孤立していたら、そもそも家に子供だけを残しておくことが出来ない。

地域コミュニティが改めて大事だなと思いますね。

河合
河合
私も親が転勤族だったんで、ずっと昔からの知り合いがいなくなってしまったというのも影響していると思います。

不登校という選択をプラスにするために必要なことって?

31959809_1536061736521144_3801650517772337152_n
小幡
小幡
ちなみに不登校経験を振り返ってみてどうでしたか?

河合
河合
当時はものすごく苦しくて、同じ経験は二度としたくありません。今まで生きてきて色々な経験をしましたが、それでも1番不登校時代が苦しいと思いくらい辛かったです。

ただ、あの時不登校にならなければ、逆に人として終わってたなっていうのもあります。

行かないでそのまま一般的なレールの上を歩いていたら、もしかしたら相当捻くれた人間になっていたような気もしますね。

行かなくなる前は、勉強が出来たということや、周りより大人っぽかったこともあり、人を見下しちゃってる部分が多少なりともあったのかなと思うので、自分の中に原因もあると思いますね。

ただ、今でも日本の社会で生き抜くために学校に行かなきゃいけないという感覚はあります

今回の対談者は全員起業しているからあまり関係ないかもしれないけど、会社員になると能力云々じゃなくて、人とのコミュニケーション能力が高い人が出世したり、生きやすかったりという部分がまだ強いと思いんです。

変な話周りの目線を気にしながら生きるというか、それが良いのか悪いのかわからないけど、そういう学校で学べる気がしますね。人の顔色を伺うみたいな(笑)

小幡
小幡
たぶん起業家には向いていないですよね。

やりたいことを好きな時にとことんやる環境が望ましいけど、学校だと常に枠組みが決まっていて、そこから出ることは基本的には出来ません。

学校はこの時間からこの時間にこれをしなさいということが、仕事よりも決まっているじゃないですか。

河合
河合
日本の教育は全体教育なので右向け右みたいな感じで、飛び級とかもないですし、それが良い部分も悪い部分でもありますよね。

突き抜けた人は育ちにくい環境ではありますよね。

小幡
小幡
学校に行ける子は行った方がいいと思うんですよ。

でも合わない子は合わないんで、そこを無理やり合わせようとするとすごく大変だし、それは僕は才能を潰しているような気がしていて。

僕ならひたすらゲームをやりたいだとか、ひたすら絵を描きたいだとか、音楽をやりたいとか学校に行くよりやりたいことがある場合がある。

その時間をひたすらこれをやりたいんだって思える気持ちを小学生のうちから持っているのってそれは才能だと思っていて

それを伸ばしてあげた方が、そういう子にとってはいんじゃないかと思っているので、そういう選択を認めてあげれるような。

河合
河合
社会が不登校に対しての目線が厳しいというのがあるんで、そこが変わっていかないと何をやっても子供達が苦しむだけというループは抜けれないから。

そこで苦しんで、そこに時間を取られて、人間不信に陥って気力をなくしてしまうのも才能を潰すことになってしまう。

小幡
小幡
結局、不登校だった人たちが結果を出しまくるしかないと思っています。むしろ不登校を経験した人の方が成功者が多いぞみたいな(笑)

最近の流れだと大学を中退して起業するのが一つのブランドじゃないですか?スティーブ・ジョブズにしてもマーク・ザッカーバーグにしてもホリエモンにしても。

大学中退で起業=なんかすごいみたいな。そういうレベル感で中学校行ってない?なんかすごいなあいつみたいな(笑)

学校行かないことが駄目じゃなくて、学校に行かないことを何かで代用出来るかが重要で。

学校に行かないで家で時間を過ごすことはたぶんマイナスだと思うんですよ。学校に行かないんだったら、学校に行かないことより価値のあることをやらないと。

それだったら学校に行った方が蓄積されるものが多いんだけど、その時間をどう使ったら良いか導いてあげる人が周りにいることが重要だなと思います。

本人もちゃんと意識しないといけないとも思うんですよね。

将来を見た時に何も意識しなければ、ただ置いていかれるだけなので。別の道でちゃんとみんなに追いつくように頑張らないといけないと思います。

河合
河合
そこまでの精神状態にあれば良いんですけど、大体の子供はそんなことまで考えられないという現実はありますけどね。

小幡
小幡
それは単純に情報量が少ないというのがありますよね。不登校で上手くいっている人とかに出逢ったり、起業したいならその順序も知らないわけだし。

家入さんの話にもあったように年が上の人が出来ることって、サンプルというか選択肢をたくさん教えてあげて、それに対して応援する

普通に学校に行って勉強をして就職してって人が周りの98%を決めているわけだから、そういう人に出会う機会がないと思うんですよ。

河合
河合
なんかどうしても子供は親の目線になっちゃいますよね。

小幡
小幡
それもあるし、先生は完全にそういうルールになっちゃいますよね。大学まで行っていなければ先生にもなれないわけだし。

先生はそういうポジションでしか喋れないと思うんですよね。

子供の頃って3分の1が先生、3分の1が親、3分の1が周りの人の影響だと思うんです。

この本で伝えたいのは学校って大事だけど、それは全てではないし、学校に行かなくても楽しい人生はあるよということですよね。

最後に、読んでくれている方に何かメッセージありますか?

河合
河合
現状相談を受けている子たちで、家で虐待を受けていて、学校では友達にいじめを受け、先生は学校にどうしても行けと言われるみたいな、八方塞がりの子たちから相談がきます。

もしこれを見てくれている先生がいたら、先生だけでもその子の味方になってあげてほしいなと思います。

学校に行けと強く言い過ぎないだけでも、もしかしたらその子は救われるかもしれない。

家入さんの「リバ邸」はじめ不登校経験者の中で何かしら活動されている方はご自身で居場所を作っていらっしゃることも多いので、居場所がないっていうことが本当に辛かった経験なんだと思います。

親はどうしても子供を学校にすぐに行かせようとして焦っちゃうと思うんですが、それが子供を苦しめてしまうと思います。

今成功されていると言われている方たちでさえ、それくらい時間がかかっているので、長い目で見てあげて欲しいなと思いますよね。

 

▼他の対談はこちら▼
大量生産モデルの学校に馴染めない子は社会不適合なの?JERRYBEANS×小幡和輝対談(前編)
ある日を境に一人ぼっちに。逃げ続けた先に見えた、好きと才能を生かす世界。家入一真×小幡和輝対談(前編)
田舎ならではの狭いコミュニティが辛かった。吉藤オリィ×小幡和輝対談