僕は小学校から10年間、不登校でした。だけどさまざまな出会いやきっかけがあり、高校生3年生の時に起業しました。僕の経験が同じように不登校で悩んでいる子の役に立ててばと思い、今までも僕の実体験をもとに発信てきました。だけど不登校にはいろんなタイプがあるので、僕の体験がすべてに当てはまるとは思っていません。ということで、不登校の経験がある方々との対談企画を全8回に渡ってお届けします。
たくさんの事例の中で共通することはなにか。また不登校の経験がいまどのように活きているのかを聞いてきました。
第3回のゲストは、河合未緒さんです。
※この対談は、書籍「不登校から高校生社長へ」に収録したものを、一部加筆・修正したものです。
河合未緒
ネット上で不登校経験者と不登校生が相談できるサイト「Clue」・元不登校生のインタビューサイト「Load」をリリース。インバウンド事業で日本人・外国人向けに簡単に着れる着物&帯を販売。
不登校になった理由
女子特有のいじめで暴力的な目に見えるいじめではなく、わかるかわからないかのジワジワ精神的に追い詰めていく感じで、ちょっとノイローゼ気味になりました。
学校の先生に相談をしたところ、目に見えないから明確なことをわかってもらえず「それはいじめられているわけではない」と言われてしまいました。
親には長男長女特有の中々相談出来ないという感じで、1人で抱え込んでいたら精神的にやられてしまってある日、何かが壊れたって感じですね。
僕はいじめられるというよりかは、空気が合わないというか、いじめよりも更に難しく、向こうはいじめてる気もないんだけど。何かあるじゃないですか。
集団の中に上手く馴染めない。僕的には居心地が悪い空間なんだけど、向こうはいじめている気持ちはないみたいな。
逆にそれが良かったんですよね。周りからもわかるじゃないですか。
先生は助けなきゃいけないと思うし、空気感てすごい難しいから。空気感でいじめられるというか居心地が悪くなるとかなり厳しいんだろうなって。
日本は行かない選択肢は「ない」っていう感覚に近いんで。
周りにもわかるし、殴られて帰ってきたら親は大丈夫か?ってなるし。そこで結構悩んでいる子も多いと思うんですよね。クラスに馴染めないみたいな。
不登校になった時期
周りと精神年齢も合わないっていうのもありましたけどね。私は逆にそいうのがあんまりなかったんで。
精神年齢が若干大人びていたというのもあって。可愛げのない子供だったんですけど(笑)
ただ、そこでいじめられて学校に行かなくなったからこそ、コミュニケーション能力の大切さに気付いたし、それがないともっと人と接するのが下手だった気がします。
世間に馴染むためのきっかけというか、後々考えてみたらそうだったんだろうなと。当時は相当苦しかったですけどね。
親との関係性は?
家に居場所があったっていう人の話を聞くと羨ましいなって思います。それだけでだいぶ救われるんで。
やっぱり時間は掛かりますよね。
自分としては家入さんもおっしゃってたと思うんですが、学校に行きたくないわけではなくて、同じようにみんなと一緒のレールの上を歩きたい派だったんです。
学校に戻りたくて仕方がなかったので、自分で行きたいという気持ちがあった。他には高校で出会いもあったんですが、やはり居場所を見つけられたのがあります。
学校だけだときつかったんですけど、途中で美術部に入ってそこで居場所を見つけたって感じだったんで。美術部に入らなかったら、もしかしたら卒業が伸びていたのか、退学をしていたかもしれません。
不登校のあいだはどう過ごしてた?
中学に入るタイミングで勉強に集中したかったので、全ての習い事をやめてしまったんですよね。
学校に行かなくなってから、新しく居場所を見つけるとなると厳しいところではありますよね。
登下校の時間はあえて避けて移動したりしていましたね。
そう考えると離れたところに行って居場所を作るのはありかもしれないですね。転校までは行かなくてもコミュニティを一旦変えてみるというのはすごい大事な気がしていて。
人に対する恐怖心をある程度緩和させてから転校とかしないと、結局行けなくなっちゃうんだろうなと思いますね。
学校に行っていないというだけで毎日のようにみんなで遊ぶし、勉強もたまにするし。結局、家にずっといたことがほぼなくて。
学校に行かなくても、他のコミュニティに入ったり、人とコミュニケーションとれたりする環境なら本気で行かなくていんじゃないかなって思います。
カードゲームショップでは僕のことを不登校だって誰も知らなくて、そのくらい見ても誰もわからないんですよね。
学校に行ってなかったけど、まぁまぁ明るかったんで、ちょっと変わった例かもしれないですよね。明るい不登校みたいな。
昔は近所の人の目があったり、親戚が近くにいたり、自然と他にコミュニティだったりコミュニケーションを取る機会が多かったと思うので、そこで救われる部分もあったりしますからね。
地域コミュニティが改めて大事だなと思いますね。
不登校という選択をプラスにするために必要なことって?
ただ、あの時不登校にならなければ、逆に人として終わってたなっていうのもあります。
行かないでそのまま一般的なレールの上を歩いていたら、もしかしたら相当捻くれた人間になっていたような気もしますね。
行かなくなる前は、勉強が出来たということや、周りより大人っぽかったこともあり、人を見下しちゃってる部分が多少なりともあったのかなと思うので、自分の中に原因もあると思いますね。
ただ、今でも日本の社会で生き抜くために学校に行かなきゃいけないという感覚はあります。
今回の対談者は全員起業しているからあまり関係ないかもしれないけど、会社員になると能力云々じゃなくて、人とのコミュニケーション能力が高い人が出世したり、生きやすかったりという部分がまだ強いと思いんです。
変な話周りの目線を気にしながら生きるというか、それが良いのか悪いのかわからないけど、そういう学校で学べる気がしますね。人の顔色を伺うみたいな(笑)
やりたいことを好きな時にとことんやる環境が望ましいけど、学校だと常に枠組みが決まっていて、そこから出ることは基本的には出来ません。
学校はこの時間からこの時間にこれをしなさいということが、仕事よりも決まっているじゃないですか。
突き抜けた人は育ちにくい環境ではありますよね。
でも合わない子は合わないんで、そこを無理やり合わせようとするとすごく大変だし、それは僕は才能を潰しているような気がしていて。
僕ならひたすらゲームをやりたいだとか、ひたすら絵を描きたいだとか、音楽をやりたいとか学校に行くよりやりたいことがある場合がある。
その時間をひたすらこれをやりたいんだって思える気持ちを小学生のうちから持っているのってそれは才能だと思っていて。
それを伸ばしてあげた方が、そういう子にとってはいんじゃないかと思っているので、そういう選択を認めてあげれるような。
そこで苦しんで、そこに時間を取られて、人間不信に陥って気力をなくしてしまうのも才能を潰すことになってしまう。
最近の流れだと大学を中退して起業するのが一つのブランドじゃないですか?スティーブ・ジョブズにしてもマーク・ザッカーバーグにしてもホリエモンにしても。
大学中退で起業=なんかすごいみたいな。そういうレベル感で中学校行ってない?なんかすごいなあいつみたいな(笑)
学校行かないことが駄目じゃなくて、学校に行かないことを何かで代用出来るかが重要で。
学校に行かないで家で時間を過ごすことはたぶんマイナスだと思うんですよ。学校に行かないんだったら、学校に行かないことより価値のあることをやらないと。
それだったら学校に行った方が蓄積されるものが多いんだけど、その時間をどう使ったら良いか導いてあげる人が周りにいることが重要だなと思います。
本人もちゃんと意識しないといけないとも思うんですよね。
将来を見た時に何も意識しなければ、ただ置いていかれるだけなので。別の道でちゃんとみんなに追いつくように頑張らないといけないと思います。
家入さんの話にもあったように年が上の人が出来ることって、サンプルというか選択肢をたくさん教えてあげて、それに対して応援する。
普通に学校に行って勉強をして就職してって人が周りの98%を決めているわけだから、そういう人に出会う機会がないと思うんですよ。
先生はそういうポジションでしか喋れないと思うんですよね。
子供の頃って3分の1が先生、3分の1が親、3分の1が周りの人の影響だと思うんです。
この本で伝えたいのは学校って大事だけど、それは全てではないし、学校に行かなくても楽しい人生はあるよということですよね。
最後に、読んでくれている方に何かメッセージありますか?
もしこれを見てくれている先生がいたら、先生だけでもその子の味方になってあげてほしいなと思います。
学校に行けと強く言い過ぎないだけでも、もしかしたらその子は救われるかもしれない。
家入さんの「リバ邸」はじめ不登校経験者の中で何かしら活動されている方はご自身で居場所を作っていらっしゃることも多いので、居場所がないっていうことが本当に辛かった経験なんだと思います。
親はどうしても子供を学校にすぐに行かせようとして焦っちゃうと思うんですが、それが子供を苦しめてしまうと思います。
今成功されていると言われている方たちでさえ、それくらい時間がかかっているので、長い目で見てあげて欲しいなと思いますよね。
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